法人活動

介護施設のICT,IoT化 ~利用者の安全と安心~

特別養護老人ホームアルテイル青葉で見守りセンサ―を導入します。

目的は認知症利用者の転倒事故防止です。

従来では床センサーマットと起き上がりセンサーを使用していました。

床マットセンサーはベッド脇に配置し、利用者の足が触れると反応して職員に知らせるものです。

起き上がりセンサーは利用者がベッドに横になった状態の肩の部分に配置して、肩が浮いた状態(寝ている状態から上半身を起こす)になると反応して職員に知らせるものです。

上記二つのセンサーを使用する場合、次の様な「すぐに駆け付けなくても事故に至らないケース」でも、センサーが反応してしまいます。

①ベッドから上半身だけを起こしている場合

②ベッドの隅に腰かけて、足が床に着いている場合

両者共に利用者は落ち着いて過ごしており且つ、「すぐに駆け付けないと事故に至る可能性のある状況」ではありませんが、センサーが反応している為、職員は状況が分からないまま(危険では無いこと知ることが出来ない)利用者のもとに駆け付けます。

このとき同時に複数のセンサーが反応すると、職員はどの利用者の緊急性が高いのかを判断する手段も無いまま対応することになっていました。

今回導入を決めた見守りセンサーは上記の様な状態でも、職員が専用の携帯端末を使って利用者の状況を判断出来るものになります。

複数の利用者で同時にセンサーが反応した場合でも、利用者の状況をその場で確認出来るため、「直ぐに駆け付けないと事故に至る可能性がある状況」か否かを判断することが出来ます。優先順位を付けて対応が出来るので、利用者の転倒事故防止に役立つのではないかと考えています。

また、従来のセンサーではその場にいないと利用者の状況が確認出来ない為、センサー反応していても利用者が落ち着いて過ごしているところから、例えばベッドに横になってもらわないとセンサーが反応しない状態になりません。

利用者にセンサーと職員の都合で、横になってもらうことは「その利用者のそこで落ち着いて過ごしている習慣」に反すことになり、無理に横になってもらうと、それは「その利用者の尊厳」を傷つけてしまうことになりかねません。

当法人の理念からいっても、そのようなケアは望ましくないと考えています。

利用者の「安全」は最も大事なことの一つです。しかし、利用者が「安心」して暮らせる環境との折り合いはなかなか難しいことも事実です。

「安全」を優先し過ぎてしまうと、上記例のように「ベッドに横になってもらう」といったように利用者の行動や心の「自由」を制限してしまいがちになってしますし、「自由」を優先しすぎてしまうと、それだけ事故のリスクが高くなってしまいます。

利用者の「安全」を確保しつつ、「安心」を提供する。介護施設に求められているものです。

今回導入する見守りセンサ―のようなIoT機器が利用者の「安全」と「安心」の架け橋になれるように使っていければ、介護施設のICT、IoT化も推進していけるのかもしれません。